日記帳スペシャル ベルギー&オランダへの旅 10

1999年3月22日(月)その2 ヴァン・デル・ローストの家へ

 ヤンの車で(もちろんバートも一緒に)ヘーレンフェーンから国境を越えてベルギーに帰る長距離ドライブ。ヘーレンフェーンはオランダでも北部の方だからほぼオランダを縦断である。ヤンに「デ・ハスケは繁盛しているなぁ」と言うと、「デ・ハスケが繁栄するということはわれわれが繁栄するということ。それは音楽界が繁栄するということだ」。自信に満ちて力強い。

 途中ハイウェイ沿いのレストランに入る。さすがにこんなところに旅行者が来ることは滅多にないのだろう。今まで訪れたレストランでは英語メニューも用意されていることが多かったが、この店はオランダ語のみ。ひとつひとつヤンが英訳してくれる。

 私はマッシュルーム・スープと焼いたサーモンをいただく。ビールはフーハールデン("Hoegaarden" 日本ではヒューガルデンの名で売られているらしい)を飲む。さすがにヤンのオススメの店だけあって美味い。特にサーモンは16日にルーヴェンで食ったのと同様に最高。φ(^_^) やっぱり北海で育ったサーモンはひと味違う。

 バートともたくさん話をする。彼はヤマハのバス・トロンボーンを愛用し、ヤマハのマウスピースにとても興味を持っているのだとか。しかしベルギーではカタログは手に入るものの実物の品揃えが悪く、そのすべてを試奏することが難しいと聞く。いつでも欲しいものはメールで知らせてくれればプレゼントすることを約束。<帰国後すぐにバートからメールがあり、ヤマハのシグネチュア・シリーズのマウスピース(ダグラス・ヨーのモデル)を送ってあげました。彼は感激してくれました。

 ずっとご馳走になってばかりだったので私が支払う。私がクレジット・カードのサインを漢字で書くと、店員さんは「オゥ、ファンタスティック」と唸るように言った。(^-^;)

 国境を越えてヤンの家へ。奥さんは仕事で帰りが遅いということで会えなかったのが残念。しかし彼の子供たちがそろって迎えてくれた。

 左から私、ヤン、次女レーン、長女エルス、長男バート、次男トム。レーンはオーボエ、エルスはハープ、バートはバス・トロンボーン、トムは打楽器をやっていて、さらに奥さんも音楽関係の仕事をしているという、まさに音楽一家である。

 写真はリビングルームの一角の、ヤンが「一番気に入っている」と言う場所。温室のように天井を含めてすべてガラス張りで天井は電動で開くようになっている。彼はくつろぎたいときは左奥に見える革のソファーに座るのだそうな。右に見えるキャンドルもとてもキレイだ。うーん、良い家だなぁ。ため息...。

 リビングルームで再び「展覧会の絵」と「はげ山の一夜」の暫定版CDを聞く。ヤンも嬉しくてたまらないのだ。デ・ハスケで聞いたときと同じくヤンは重低音が鳴るたびに無邪気に喜ぶ。「低音が好きだね」と言うと「その通り。でもヤン・デ・ハーンも重低音に喜んでいたぞ」。爆笑。(^○^)

 ヤンは「これこそもっともスペシャルなビールだ。日本に帰ったら飲んでくれ」と言ってデリリウム・トレメンスという陶器製の瓶のビールをくれた。どうやらとっておきのビールらしい。何とアルコール度数は9パーセント! 「これも危険なビールみたいだね」と言うと「そう。ドゥヴェルより危険だ」とヤン。(^○^)

 ヤンにシェラトン・ブリュッセル・エアポート・ホテルまで車で送ってもらう。「良い子供たちだ」と言うと「家庭はとても大切。もちろん仕事もとても大切。その良いバランスを保つことが何より大切だ」とヤン。そう言えば3日前、旅行社に行ったときに「今度家族で旅行に行くのだ」ととても楽しみにしているようだったっけ。彼は仕事熱心で、しかもとても家族思いの良いお父さんなのだ。

 夜11時にホテルに到着。いよいよヤンとの別れ。永遠の別れではない。ヤンとはこれから何度でも会うことがあるだろう。でも今回の旅で彼にはとてもお世話になった。彼への感謝の気持ちがこみ上げる。「私はあなたにサヨナラを言わなければならない。残念なことに私の英語では私の気持ちをあなたに上手に伝えることができない...」あとは声にならなかった。「大丈夫。感じることができるから」。しっかりと抱き合い、友情を確かめ合って別れる。

3月15日(月) ブリュッセルへ
3月16日(火) ルーヴェン レコーディング初日
3月17日(水) ルーヴェン レコーディング2日目
3月18日(木) ルーヴェン レコーディング3日目
3月19日(金)その1 ルーヴェンからコンティッヒのヴァン・デル・ローストの家、アントワープへ
3月19日(金)その2 ブリュッセルでギデ吹奏楽団を鑑賞、アントワープへ
3月20日(土) アントワープからアムステルダムへ
3月21日(日) アムステルダム
3月22日(月)その1 アムステルダムからヘーレンフェーンのデ・ハスケ本社へ
3月22日(月)その2 ヴァン・デル・ローストの家へ
3月23日(火) ブリュッセルから日本へ