日記帳スペシャル ベルギー&オランダへの旅 8

1999年3月21日(日) アムステルダム

 8時に起床。ヤン・ルイケン・ホテルの朝食室は地下にある。混んでいて0階で待たされる。まあ良いのだ。今日は誰とも約束がないから。朝食は美味い。特にソーセージが最高。

 ホテルの自動販売機で WILDE HAVANA(葉巻)を見つける。ヨーロッパでは自動販売機そのものが結構珍しかったりするのだけれど、こいつは特に旧式みたいだ。ガラスの向こう側に商品がぶら下がっていてコインを入れるとそれが押し出される形。何だかUFOキャッチャーみたいでホントに出てくるのかどうか怪しい感じがする。怪しみながらコインを入れてみるが、嫌な予感が当たった。引っかかって出てこないのだ。フロントの男を呼ぶ。男は自動販売機を乱暴にユッサユッサ。そしたら落ちて出てきた。「よくこうなるんですよ」。2人で大笑い。(^○^)

 天気は一日中雨でとても寒い。ベネルクスに来て初めて傘を使う。国立博物館へ行くことにした。ホテルから博物館までは徒歩5分ほど。日本人旅行者も多く、あちこちから日本語が聞こえてくる。

 とてつもなく大きな博物館だ。気合いを入れて入館。まず地下へ。地下はオランダの歴史のフロア。昔のオランダ人が描いた長崎の絵を発見。日本人はみな痩せこけてふんどし姿で姿勢が悪く、腹切りや首切りをする野蛮で貧しい人間として描かれ肌は汚れた土色だ。一方オランダ人は恰幅が良く胸を張ってきれいな服を着て闊歩している。「おーい、日本人はこんなじゃないぞ! オレを見ろ〜!」と叫びたい衝動。(^-^;)

 順番に上の階を見る。一番のお目当てはもちろんランブラント・ファン・レインの「夜警」。

 上の写真は買ってきたパネルをスキャンしたもの。しかし本物のスケールは再現できない。大きい絵だと聞いてはいたが、とりあえずそのあまりの大きさに驚く。しかし私にとってむしろ興味深かったのはその隣室にあったヘリット・ルーデンスによる模写。オリジナルでは上と左が欠けてしまっているのだが、模写ではそれがわかる。貴重な絵を見ることができた。

 フランツ・ハルスの「結婚肖像画」も印象的だった。男の表情は満足そう、女の表情は幸福に満ちている。ヤン・ステーンの「羊飼いの崇拝」も素晴らしい。最も印象的だったのはフェルメールの「台所婦人」。流れ落ちるミルクのリアルさに釘付けになってしまった。

 あまりに大きい博物館なのでかなり時間がかかった。コンセルトヘボウへ急ぐ。コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏会が午後2時15分からあるのだけれど、デ・ハスケにもチケットが取れなかった。そこでキャンセル待ちにトライする。しかしダメだった。

 そのまま入り口近くのベンチでタバコを吸っていたらやがてスピーカー越しにベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番が聞こえてきた。壁一つ向こう側ではアックスが弾き、ハイティンクが振っているのだと思うと悔しくなってくるが、そのまま執念深くベンチに座り続ける。もしかするとコンチェルトが終わったら音楽大学のピアノの学生とかが出てくるかもしれないから半券をせしめようというあさましい魂胆である。しかし誰も出てこなかった。(;_;)

 泣く泣くコンセルトヘボウを去り遅い昼食。昨日行ったイタリア料理店のミネストローネをもう一度食べたくなった。ウエイターは私を覚えていた。「ミネストローネ」と言うと「あとはスパゲッティ・シシリアーノとコーラか?」と。「いやいや、スパゲッティ・カルボナーラとハイネケンをください」。(^-^;)

 日曜日ということもあって遅い昼食を楽しむ人が多いようで混んでいる。残念ながら味は昨日とは違う。日本と同じだな、と思う。

 食後は市立近代美術館へ。バセリッツの抽象画が面白かった。人がデフォルメされたものが多く、いずれもエネルギーを感じる。ピカソの「庭先に横たわる裸の女」、さらにモネ、ゴッホ、セザンヌなど。大いに楽しむ。

 市立近代美術館前の公衆電話の隣に「公衆インターネット機」なるものを発見。トライしようかとも思ったが、雨も降っているし使い方がよくわからないので断念。

 ホテルに帰る。ヒマなのでホテル0階のフリースペースでくつろぐことにする。写真は WILDE HAVANA を一服しているところ。(^ .^)y-~~~ こういう何に使うのかはっきりとしていないスペースというのはとても落ち着く。古いホテルでしかも美術館の近くということもあってか立派な絵が飾られているし家具類も渋く良い感じだ。このスペース、とても気に入った。

 TVを見たり明日の移動のためにトランクに荷物を詰め込んだり(ほとんどパズルだ!)。部屋でグロルシュ(ビール)を飲む。悪くないが、ヤンの言うとおりビールはベルギーの方が美味しいように思う。11時に寝る。

3月15日(月) ブリュッセルへ
3月16日(火) ルーヴェン レコーディング初日
3月17日(水) ルーヴェン レコーディング2日目
3月18日(木) ルーヴェン レコーディング3日目
3月19日(金)その1 ルーヴェンからコンティッヒのヴァン・デル・ローストの家、アントワープへ
3月19日(金)その2 ブリュッセルでギデ吹奏楽団を鑑賞、アントワープへ
3月20日(土) アントワープからアムステルダムへ
3月21日(日) アムステルダム
3月22日(月)その1 アムステルダムからヘーレンフェーンのデ・ハスケ本社へ
3月22日(月)その2 ヴァン・デル・ローストの家へ
3月23日(火) ブリュッセルから日本へ