1. | テルプシコーレ ( Terpsichore ) [ フィッシャー・タル ( Fisher Tull ) ] ( 3:33 ) |
2. | 前奏曲と二重フーガ・前奏曲 ( Prelude and Double Fugue: Prelude ) [ フィッシャー・タル ( Fisher Tull ) ] ( 3:40 ) |
3. | 前奏曲と二重フーガ:フーガ I & II ( Prelude and Double Fugue: Fugue I & II ) [ フィッシャー・タル ( Fisher Tull ) ] ( 5:22 ) |
4. | ピアノ協奏曲:アレグレット ( Concerto for Piano and Wind Ensemble: Allegretto ) [ フィッシャー・タル ( Fisher Tull ) ] ( 6:52 ) ピアノ:ジェイコブ・アートル (Jacob Ertl) |
5. | ピアノ協奏曲:レント ( Concerto for Piano and Wind Ensemble: Lento ) [ フィッシャー・タル ( Fisher Tull ) ] ( 3:51 ) |
6. | ピアノ協奏曲:アレグロ ( Concerto for Piano and Wind Ensemble: Allegro ) [ フィッシャー・タル ( Fisher Tull ) ] ( 5:22 ) |
7. | クリプティック・エッセイ ( Cryptic Essay ) [ フィッシャー・タル ( Fisher Tull ) ] ( 9:02 ) |
8. | ジャーゴン ( Jargon ) [ フィッシャー・タル ( Fisher Tull ) ] ( 7:19 ) |
9. | アケレイド ( Accolade ) [ フィッシャー・タル ( Fisher Tull ) ] ( 9:00 ) |
10. | テューダー朝の聖歌によるスケッチ ( Sketches on a Tudor Psalm ) [ フィッシャー・タル ( Fisher Tull ) ] ( 11:42 ) |
11. | フィッシャー・タルへのインタビュー ( Interview with the Composer ) ( 13:40 ) 1991年3月、アンドリュー・イエイツによる |
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アメリカにおける吹奏楽の重要な作曲家へのインタビューとその作品を聞くことができるクラヴィアの人気シリーズ「The Composer's Voice」にフィッシャー・タルが登場しました。
フィッシャー・オーブリー・タルJr.は1934年9月24日にテキサス州ウェイコに生まれました。9才でトランペットを始め、高校時代には兄弟とジャズバンドを組んで地元のラジオ局でレコーディングも行っています。1952年に高校を卒業すると、プロのトランペット奏者としてダンスバンドの演奏旅行に参加しました。ノーステキサス大学ではトランペットをジョン・ヘイニーに、作曲をサミュエル・アドラーに師事し、学内の管弦楽団や吹奏楽団、ビッグバンドでトランペット奏者として活躍しました。1956年に音楽教育の学士号、1957年に音楽理論とトランペット演奏で修士号、1965年に作曲で博士号をそれぞれ修得し、1993年には優秀同窓生の表彰を受けています。1957年にサム・ヒューストン州立大学の教員になり、1965年から1982年まで音楽学部長を務めました。音楽関係のさまざまな団体や組織の長を歴任しましたが、1994年8月23日にテキサス州ハンツヴィルで亡くなりました。
作編曲家としてジャズやダンス音楽からそのキャリアをスタートさせたタルは、ノーステキサス大学に入学後、ダラスのダンスバンドやテレビ、ラジオの音楽、あるいはノーステキサス大学のビッグバンド、ワン・オクロック・ラブ・バンドのためにアレンジを手がけるようになり、その数は在学中だけで100曲を超えます。クラシックの分野では金管アンサンブル曲の作曲を手始めに、やがて吹奏楽曲を書くようになって、1970年に「トッカータ」でABA(アメリカ吹奏楽指導者協会)オストウォルド賞を受賞しました。この他にも、著名なオーケストラやアンサンブル、音楽団体などから委嘱を受け、管弦楽曲、吹奏楽曲、合唱曲、室内楽曲など、80曲を超える作品を残しており、数々の作曲賞受賞や表彰を受けています。新古典主義音楽から実験的な現代音楽まで多彩なスタイルの作品を書き、多くの作品がブージー&ホークスやサザン・ミュージックなどから出版されています。
このCDには、カンザスシティのクラシック音楽専門ラジオ放送KXTRで吹奏楽番組のホストを務めるアンドルー・イェイツが1991年3月に行ったタルへの13分半のインタビューの録音と、吹奏楽作品7曲が収録されています。
タルの作品の録音は少なくないのですが、作品集としてまとまって聞けるものは、現在入手可能なサム・ヒューストン州立大学による1994年制作のCD「A CELEBRATION! - Music of Fisher Tull」(1621-MCD)は管弦楽曲や室内楽曲が中心であり、吹奏楽作品集は1970年代から1980年代に制作されたサム・ヒューストン州立大学ウィンド・アンサンブルのLPくらいしかありません。代表作の「テューダー朝の聖歌によるスケッチ」を除いて現在入手可能な録音がほとんどない作品を中心に集めたこのアルバムは非常に貴重なものと言えます。
演奏はジャック・スタンプ指揮するキーストーン・ウィンド・アンサンブルです。キーストーン・ウィンド・アンサンブルは、ペンシルヴェニア・インディアナ大学の支援を受けて、同大学の学生や卒業生、教職員ら約50人をメンバーに1992年に結成されました。新旧の吹奏楽作品のレコーディングを主な目的としており、シタデル・レコードやクラヴィア、GIAからその録音がリリースされています。キーストーン・ウィンド・アンサンブルの創設者で指揮者のスタンプは、ペンシルヴェニア・インディアナ大学の吹奏楽研究科長を25年間務め、現在はウィスコンシン大学リヴァー・フォールズ校の非常勤教授として後進の指導にあたっています。タルに作曲を学んでおり、これまでにもタルの作品をキーストーン・ウィンド・アンサンブルと録音しています。
「テルプシコラー」は、最初期の作品の一つで、元々は博士課程修了時に管弦楽曲として作曲が始められたものです。この管弦楽版は完成には至りませんでしたが、後に吹奏楽曲として改編され、1967年にサム・ヒューストン州立大学で行われた現代音楽祭で初演されました。テルプシコラーは、ギリシャ神話に登場する文芸の女神ムーサ9姉妹の中で合唱と舞踊を司り、このCDのジャケットデザインやバックインレイに使われているステンドグラスの絵のように、竪琴を持つ姿で描かれます。最初期の作品ですが、舞曲のスタイルで変拍子を伴うリズムや打楽器の用法など、その後のタルの作品の特徴がすでに明確に現れています。
「前奏曲と二重フーガ」は1978年に大学バンドの友愛会カッパ・カッパ・プシーとタウ・ベータ・シグマの委嘱で作曲され、1979年8月9日の年次総会で作曲者の指揮、全国大学合同バンドの演奏で初演されました。前奏曲と、その前奏曲で現れる2つの主題に基づくフーガとで構成されており、対位法の見事さや主題の展開、オーケストレーションなど聞きどころ満載で、タルの作曲技法を堪能できる1曲です。
「ピアノとウィンドアンサンブルのための協奏曲」は、1987年にピュージェット・サウンド大学の委嘱で作曲され、同大学の教員であったデュアン・ハルバートの独奏で初演されました。第1楽章アレグレット、第2楽章レント、第3楽章アレグロの典型的な3楽章形式の協奏曲のスタイルで書かれた16分ほどのピアノ協奏曲です。ピアノのカデンツァはタルの妻でピアノ奏者だったシャーロットが書いたものです。この録音でのソリストはペンシルヴェニア・インディアナ大学でピアノの助教授を務めるジェイコブ・アートルです。
1975年にテネシー工科大学の委嘱で作曲され、1976年2月21日に作曲者自身の指揮で初演された「クリプティック・エッセイ」は、聖体祭のために1263年に中世イタリアの神学者で聖人のトマス・アクィナスが作曲した「いざ歌え、わが舌よ」の旋律を主題とする変奏曲の形式で書かれています。「隠れたエッセイ」というタイトルは、この曲が変奏が演奏された後に完全な形の主題が現れるという構成になっていることに由来しており、約9分の作品ですが、主題の断片によるファンファーレや変化に富んだ変奏とともにタルのウィットが楽しめます。
「ジャーゴン」は、18世紀のアメリカの作曲家で「チェスター」や「アフリカ」などの聖歌で知られるウィリアム・ビリングズの「ボストンの悲歌」の旋律に基づいており、タイトルはその歌詞の一節から取られています。ノーステキサス大学のラブ・バンドでベースを弾いていたボブ・ローバーの委嘱で作曲され、ローバーが指導していたテキサス州アーリントンのサム・ヒューストン高校バンドにより1976年に初演されました。このバンドは充実した打楽器セクションを持っていたことから、この曲では打楽器が大きなウェイトを占め、大活躍するように書かれています。
ナイトの爵位授与を意味するタイトルが付けられた「アコレイド」は、1978年に高校バンドの委嘱で作曲されました。タルの作品の中では比較的グレードが低く、初級者が多かったり楽器編成に多少の難があっても無理なく演奏できるよう教育的な配慮がなされた作品になっています。
さて、タルの代表作であり、もっともよく演奏されている吹奏楽曲は1971年に作曲された「テューダー朝の聖歌によるスケッチ」ではないでしょうか。タイトルどおり、イギリスのルネサンス期の作曲家で、王室礼拝堂のオルガン奏者としてテューダー朝のイギリス国王と女王に仕えたトマス・タリスが1567年に作曲した「大司教パーカーのための9つの詩篇歌」から、詩編第2番の旋律に基づく主題とその変奏の形式で書かれています。この旋律は、イギリスの作曲家レイフ・ヴォーン・ウィリアムズも「トマス・タリスの主題による幻想曲」に引用している有名なもので、今日でも聖公会の典礼で用いられています。敬虔な聖公会の信者だったタルは、親しみのある旋律に着目し、タリスがテノールのために書いた元の旋律にあたり、現代的な色彩を施して12分近い作品に仕上げました。サム・ヒューストン州立大学シンフォニック・バンドと指揮者のラルフ・ミルズに献呈されており、タルの信仰と作曲技術が結晶した名曲です。
ライナーノートの解説はフィッシャー・タルの息子で、テキサス大学オースティン校やノースウェスタン大学で音楽を学び打楽器奏者としても活躍したティムことティモシー・タルが執筆しています。父フィッシャーへの想いが随所に込められた文には、心温まるものがあります。なお、ティムはこのアルバムのリリースと前後して2015年9月21日にヒューストンで亡くなりました。
日本ではタルの作品は現在ではあまり演奏される機会がありませんが、このアルバムの登場によって再評価につながるのではないでしょうか。
(2015.12)
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