1. | Serenade to a Bus Seat [ Clark Terry / arr. Steve Guerra ] ( 3:57 ) |
2. | Tetragon [ Joe Henderson / arr. Michael Conrad ] ( 6:08 ) |
3. | Ugly Beauty [ Thelonius Monk / arr. Joe Policastro ] ( 5:01 ) |
4. | I Love You [ Cole Porter / arr. Chris Madsen ] ( 7:02 ) |
5. | Fantasy for Trumpet and Jazz Orchestra: I Gold [ Eric Richards ] ( 4:30 ) |
6. | Fantasy for Trumpet and Jazz Orchestra: II Copper [ Eric Richards ] ( 3:51 ) |
7. | Fantasy for Trumpet and Jazz Orchestra: III Silver [ Eric Richards ] ( 6:24 ) |
8. | Coda [ Tom Garling / arr. Cliff colnot ] ( 8:41 ) |
9. | We'll Be Together Again [ Carl Fischer / arr. Cliff Colnot ] ( 7:49 ) |
10. | Blue in Green [ Miles Davis and Bill Evans / arr. Eric Richards ] ( 6:57 ) |
11. | I Remember You [ Johnny Mercer / arr. Chris Madsen ] ( 4:07 ) |
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Rob Parton は既にご存知の方も多いと思いますが、シカゴをベースに活躍するジャズ・ミュージシャン、バンド・リーダー、トランぺッター、大学の准教授、スタジオ・ワーク、その他、とても多忙な活動をしているミュージシャンです。
彼がリーダーのビッグ・バンドは、JAZZTECH Big Bandと名乗って既に7枚のアルバムをリリースしておりますが、2009年9月に今までと異なった音楽をめざして一旦バンドを解散、新しいメンバーと共に新バンドを結成、その記念すべき1枚目が昨年暮れにリリースされたばかりのこのアルバムです。バンド名も新たに Rob Parton Big Band となりました。
全11曲の中、7曲がジャズの巨匠達の名曲、残り4曲がこのアルバムがお披露目となる新曲で、全て新鮮にアレンジされて、ビッグ・バンドの魅力が余すところ無く表現されています。
1. は Clark Terry 作曲で快調にスィング。Rob Partonはリード・トランペッターとしてだけでなく、ソリストとしての実力も十分。続くバリトン・ソロが心地良い。
2. テナー奏者 Joe Henderson が1968年にリリースしたアルバムのタイトル曲で G のモダンなブルース。アレンジもお洒落で、テナー、トロンボーン、ベースの各ソロとも快調。
3. Thelonius Monk の美しいスロー・ナンバー。フィーチュアされるテナーの Mark Colby は、以前のバンドからのメンバーで、Maynard Ferguson のバンドでも活躍したベテラン。最近ますます円熟して来たようです。
4. Cole Porter のスタンダードを、このバンドのアルト奏者 Chris Madsen が斬新にアレンジし、アレンジに負けないソロもとっています。
5〜7. がこのアルバムの中心とも言える Eric Ricahrds によるトランペットとジャズ・オーケストラの為の組曲。 Eric Ricahrds の作品は最近日本でもよく演奏され、「Smoke Gets In Your Eyes」等はよく耳にする。曲はそれぞれ金、銅、銀と名付けられた3部からなり、全ての曲で Rob Parton がフィーチュアされている。彼はジャズだけでなく、クラシック音楽の分野まで活躍している実力をいかんなく発揮している。この楽譜も既に出版されているようなので(編註:作曲者自ら出版しています。入手のご希望があればミュージックストア・ジェイ・ピーで手配をさせていただきます。)、挑戦してみるのもよいでしょう。
8. バークリー音大出身で、Budy Rich Big Band に在籍した事があり、Maynard Ferguson のアルバムに数多くの作品を提供した Tom Garlin の作品。私的にはこのアルバムで一番好きな曲かも。美しいハーモニーと新鮮なラインが絡み合って、徐々に気分を高揚させ、いつの間にか彼の世界に引き込まれる。(編註:ミュージックストア・ジェイ・ピーの出版部門、ベル・ミュージック・プレスで2013年1月に出版します)
9. 美しいメロディーを持ったスタンダード・ナンバーを、Rob Parton がフリューゲル・ホーンに持ち換えて唄い上げる。途中の倍テンポに変わってからの、テナーも素晴らしい。
10. Miles Davis でおなじみのこの曲も Eric Ricahrds のアレンジだ。彼のアレンジはともすると、度を超えた無理な転回が見られるが、ここではとても良いバランスに仕上っている。この曲でもリーダーのトランペットが中心にまとめられている。
11. たくさんの歌手、プレーヤーに取り上げられているスタンダードを、4. と同じ Chris Madsen の手により見事に料理されています。
全体を通して聴くと、演奏もアレンジも文句を付けようも無いぐらい素晴らしいのに、C. Basie, D. Ellington, W. Herman, B. Rich, M. Ferguson, S. Kenton, B. Florence 等の有名バンドに比べ少々印象が薄く感じられます。これが Rob Parton Big Band だというはっきりしたスタイルが無いせいかも。でも逆に考えると、その分色々な可能性を秘めており、これからも楽しみでもあり、またこれがこのバンドの長所かもしれません。何れにしても伝統的な手法でスィングし、それでいてとてもフレッシュなサウンドを聴かせる、素晴らしいアルバムに仕上がっています。
またブラス・セクション、特にトランペットが明るく、とても良く鳴っている印象を受けました。メンバーを表を見ると Roger Ingram の名を発見。彼は Woody Herman Band や、Harry Connick Jr. のオーケストラでリードを務めていた名手。このアルバムでも9曲でリード・トランペットを務めています。
(2013年1月 内堀勝)
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