2010年から2011年にかけて書かれたフィリップ・スパークの作品を集めたCDです。クラシックや映画音楽からの編曲、大作から小品までの吹奏楽オリジナル作品、ソリストをフィーチャーした作品、とスパークの魅力をいろいろな角度から楽しめる作品集です。
まずは、カナダのカルガリーにあるセントラル・メモリアル高校シンフォニックバンドの委嘱によって書かれた《メイプル・リーフ序曲》。カナダのシンボルであるメイプル・リーフをタイトルにした作品です。荘厳なファンファーレに続き、シンコペーションのきいたリズミカルな主部に入ります。シンプルな構成をもった小品で、演奏会などのオープニングに適しています。
次は「2011年3月に起きた日本の地震と津波の被災者のために」という副題がついた《陽はまた昇る》。東日本大震災の被災者救済のためにいち早く立ち上がったスパークが提供し、それ以降数多く演奏されることになった曲です。東日本大震災が発生した直後、スパークは日本人の友人である西田裕氏から「被災した人たちを支援するための作品を書いたらどうか?」という提案を受けました。それによって、もともとはブラスバンドのために書かれた《カンティレーナ》という作品を吹奏楽に編曲し、新しい題名をつけました。それがこの《陽はまた昇る》です。全編ゆったりとしたテンポの中で起伏のある旋律が歌われ、感動的なクライマックスを呼び起こします。
《ゴッドファーザー・ワルツ》は映画「ゴッドファーザー」のためにニーノ・ロータが作曲した音楽です。映画「ゴッドファーザー」はフランシス・フォード・コッポラ監督によって製作された映画3部作です。ニーノ・ロータは Part 1 ではノミネートに留まりましたが、引き続き音楽を担当した Part 2 ではアメリカ・アカデミー作曲賞を受賞しています。映画「ゴッドファーザー」といえば雄大な《愛のテーマ》も有名ですが、この《ワルツ》は映画で描かれているコルレオーネ・ファミリーの故郷であるイタリア民謡を思わせる、憂いのある旋律が印象的です。
モーリス・ラヴェルのバレエ音楽《ボレロ》はクラシック作品からの編曲。ご存知のようにこの作品では2つの旋律が全く変奏されずに繰り返され、オーケストレーションが変わっていくという、極めて独創的な形式を持っています。また、前半では管楽器がソロで旋律を担当しており、吹奏楽編成でも演奏者の手腕を発揮できるようになっています。
交響曲第2番《サヴァンナ交響曲》は、草原地帯や熱帯性の気候を指すサヴァンナ(Savanna)ではなくアメリカ・ジョージア州にある都市サヴァンナ(Savannah)のことです。この都市にあるアームストロング・アトランティック州立大学の創立75周年を記念するために2010年に委嘱を受けて作曲された作品です。スパークはこの都市に魅せられ、この75周年を祝うとともに、アメリカ最初の計画都市であり個性的な歴史を持ったこの都市への敬意を示しています。
1733年にイギリスの軍人であったジェームズ・エドワード・オグルソープ以下114人のイギリス人が上陸して、この都市の歴史が始まります。ヨーロッパからアメリカへの入植に関しては移住者と先住民(ネイティブ・インディアン)の間での争いがあった地域もありましたが、サヴァンナでは友好的な関係が築かれていました。第1楽章「1733年2月12日のヤマクロ・ブラフ」は、そのような歴史の始まりを描写しています。第2楽章の題名「コットン・ジン」は、綿花を種と綿に繰り分けるための機械の名前です。18世紀から19世紀にかけて綿花栽培はサヴァンナにとって重要な産業で、サヴァンナに住む人たちに冨と繁栄をもたらしました。メカニカルなリズムと急がしそうな曲想が印象的です。第3楽章「生まれ、また生まれ変わる街」は、文字通りサヴァンナという都市を讃える楽章です。ゆったりとした賛歌が演奏され、そこにアメリカ南北戦争時に歌われた《マーチング・スルー・ジョージア》(日本では《東京節》という名前でも親しまれています)が重ねられることによって、過去から現在までの歴史の流れが描かれます。最後は未来への希望を示しながら静かに曲を終えます。
《清らかなひかり》はオーボエとコンサートバンドのための作品。この作品はスパークの友人である西田裕が音楽監督を務める武蔵野吹奏楽団のオーボエ奏者である寺本文子の委嘱によって書かれた作品です。このCDでも日本のバンドである名古屋芸術大学ウィンドオーケストラをバックに福田真規がオーボエソロを担当しています。作曲に当たっては「ゆったりとした作品」「難易度は中程度」「タイトルに白(White)という言葉を使うこと」というリクエストが出されました。そこで、スパークは和声やオーケストレーションにおいて「明るく」「軽い」作品を書くことにしました。またソロ楽器としてのオーボエの歴史を振り返るべく、牧歌的な曲想やバロック音楽を模した曲想が使われました。繊細な室内楽的な響きの伴奏の中でオーボエが奏でる多彩な曲想に注目して下さい。
シンフォニエッタ第4番《ストラムプロイ・センテニアル》はその題名が示すように、オランダのストラムプロイという町にあるファンファーレ・バンド Fanfare St. Willibrordus Stramproy の創設100周年を記念して2009年に作曲されました。ストラムプロイはオランダ南部のベルギーとの国境近くにある人口およそ5000人の小さな町です。また、この作品は同じ年に創業200年を迎えた工務店 Carpentry Palmen によって委嘱されており、2つの団体の記念日を祝っています。吹奏楽版は2010年に作成され、同年の11月2日に開催された大阪市音楽団第101回定期演奏会で世界初演されました。全3楽章からなり、切れ目なく演奏されます。第1曲はストラムプロイの町を描写する楽章で、広がりのある抒情的な曲想で始まり、抒情的な曲想が中間部のリズミカルで早い曲想をはさむような構成になっています。第2曲は長いユーフォニアム・ソロをフィーチャーした緩徐楽章、第3曲では冒頭でさまざまな打楽器が工務店の仕事を模倣し、それらの打楽器に導かれてジャズの「スキャット」を模した即興的でリズミカルな演奏が繰り広げられます。
イギリスの歌である《わがために杯をあげよ、ただきみが瞳をもって》は、およそ200年に渡って欧米で親しまれている曲です。詩はシェイクスピアと同時期に生きたエリザベス朝の劇作家であり詩人のベン・ジョンソンが1616年に書いたものですが、曲がつけられたのは1790年頃、ジョン・ウォール・コルコットによるものと言われています。このスパークの編曲はトランペットとバンドのために書かれています。メロディは3回繰り返されますが、トランペットはまずシンプルなメロディをなぞり、その後変奏風の細かいパッセージ、カデンツァと活躍を見せます。
(2012年5月 阿部達利)
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