1. | Mean What You Say [ Thad Jones ] ( 8:49 ) |
2. | Say It Softly [ Thad Jones ] ( 6:51 ) |
3. | St. Louis Blues [ ウィリアム・C・ハンディ ( William C. Handy ) / arr. Bob Brookmeyer ] ( 15:50 ) |
4. | Body and Soul [ Heyma, Sour, Eyton and Green / arr. Jerry Dodgion ] ( 7:09 ) |
5. | Mornin Reverend [ Thad Jones ] ( 5:00 ) |
6. | Las Cucarachos Entran [ Jim McNeely ] ( 10:07 ) |
7. | Willow Tree [ Fats Waller / arr. Bob Brookmeyer ] ( 7:06 ) |
8. | Don't You Worry 'Bout a Thing [ Stevie Wonder / arr. Thad Jones ] ( 4:08 ) |
9. | Kids are Pretty People [ Thad Jones ] ( 8:57 ) |
10. | The Waltz You Swang for Me [ Thad Jones ] ( 5:57 ) |
11. | Little Rascal on a Rock [ Thad Jones ] ( 12:09 ) |
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The Vanguard Jazz Orchestra。1965年にThad Jones-Mel Lewis Jazz Orchestraとして発足し、1978年にサドが渡欧したためにメル.ルイスがバンドを引き継ぎ、1990年にメルが亡くなってから現在のバンド名になり今尚ヴァンガードの毎週月曜日に行けば聴くことの出来る奇蹟のようなバンドです。このバンドの素晴らしいところはメンバー全員の結束の強さ。まるで家族のようなのだ。ベイシーバンドもそういう感じだったが、こういう気質が残っていることもまた奇跡的なことだと思います。このバンドでのメンバーのサドとメルが残した数多くのレパートリーに対するリスペクトがこのバンドを一つにする絆になっているのだと思います。このアルバムは去年惜しくも亡くなったベースのデニス.アーウィンに捧げられていますが、こうしたところにもこのバンドの暖かさが出ている気がします。
バンドが今の名前になってからも定期的にアルバムは出していましたが、今回の二枚組のライブアルバムには大きな意味があります。それはアール.ガードナーが脱退して最初のアルバムであることです。このバンドは管楽器のリード奏者であるアール.ガードナー、ジョン.モスカ、ディック.オーツの三人が二十年以上に渡って不動だったというビッグバンド史で見ても稀なチームだったのですが、彼が脱退した「今のVJOはこれだ!」という宣言のようなアルバムなのです。その意気込みがサドの譜面が大半だという今回の選曲に出ている気がします。「俺達はこれからもこうやって続けて行くんだよ」ってね。
メンバーの並びを見てみると、ラッパセクションが総入れ替えになっています。リードのNick Marchione(何て読むのかな、ニック.マーチオンで良い?)は全く知らないのですが、最近時々名前を見るFrank Greenが2番件サブリードで、テレル.スタッフォードとスコット.ウェンホルトという実績豊かなソリストで固められています。デニスの後任のPhil Polombi氏も初めて見る名前ですが、メンバーの眼鏡に適ったということは間違いないでしょう。
ざっくり音を聴いてみると、リードラッパが替わったことで、善くも悪くもラッパセクションは譜面通りになっています。あのアール.ガードナーの歌い回しがあってこそのこのバンドっていう人も多いかもしれません。私もそうですから(笑)。でも考えてみれば初期のサドメルの頃はみんな譜面通りに行ってたわけで、これはこれで良いのだ、と納得することにしました。
オープニングはMean What You Say。出だしのリズムセクションが出た時点でもう安心。個人的にはドラムセットの皮ものっていうかタムとかスネアとかバスドラがやや前に出てるような印象があるのですが、これは多分マイクの立ち方とエンジニアの好みでしょう。ジョン.ライリーのシンバルワークはシンバルのチョイスも含めて明らかにメルのそれを意識したものです。ラッパのスコットは90年代のマリア.シュナイダーとかVJOで沢山見ましたが、この人こんなに線の細い感じだったかなぁ、という印象があります。勿論上手いんだけど、このテイクは本人納得してないかも。で、ラッパ隊はアールみたいにグイグイ引っ張る感じではないものの細かいニュアンスまでバッチリ揃ってて悪くないです(当たり前か)。ラッパ隊だけ総取っ替えで世代的に若くなっててややヤンチャな部分も窺えます。相対的にサックス隊がオヤジの貫禄みたいなところがあるかな(笑)。
2曲目はSay it softly。テレル.スタッフォード、貫禄です。90年代後半に出て来た人ってウィントンのエピゴーネンみたいではないけど上手い人が多いのに、余り日本には情報が入ってきませんが、この人なんかそういうのの最右翼でしょう。リードラッパはアールみたいに引っ張るというよりはアンサンブルの最上部にちょこんと乗っかるような感じですね。セクションのアンサンブルのバランスを考えるとこれでいいような気もしますが、ファディスやバージェロンみたいなタイプのああいうリードに慣れているとちょっと物足りなく聴こえるかもしれないですね。
3曲目はSt. Louis Blues。 アレンジはBob Brookmeyer。世間の評論家の人達はジャズをイーストコーストだとかウエストコーストとか分けたがるけど、メルは50年代のケントンだったし、ボブはジミー.ジュフリーのトリオにもいた訳で、その意味ではウエストの人だが、これはNYCの音だ。そういう分類は知らない人に先入観を植え付けるし実に邪魔。トロンボーンのルイス.ボニーラは近年のNYCのビッグバンドシーンの人気者ですね。私も色々な所で見ました。ソロを聴けば納得です。
4曲目はジェリー.ダジォンのアレンジのBody and Soul。ゲイリー.スマリアンの独り舞台!。バリトンサックスをやる人って、スコット.ロビンソンみたいにマルチリードで行く人とバリトン一本槍な人に分かれますが、このバンドはペッパー.アダムスもそうですが、基本的に一本槍の人が座ることになってる感じですよね。ゴツゴツして男臭くて素晴らしいです。
5曲目はMornin Reverend。今度はラルフ.ララマの独壇場!この人は小難しいことは一切しないんだけどいいんだよなぁ。こういう鷹揚としたプレイヤーって実は案外貴重な存在ですね。NYCでジャムセッションの彼がホストやってるときに遊びに行ったけど、人柄がプレイそのまんまだった記憶があります。ここまで1枚目。
2枚目はジム.マクニーリーのLas Cucarachas entranでスタート。ラテンなノリですが、この人とかミンツァーのラテンってオーセンティックなラテンと比較するとビミョーな部分があってりするんですよね。でもどラテンにならないところがこのバンドらしいと言えば言えないこともない(笑)。しかしマクニーリーの曲のコード進行ってのはフk雑なのが多いなぁ。そしてこういうときのテナーソロはリッチ.ペリーなのであります。この人、ベテランですが、マリア、シュナイダーとの掛け持ちだった気がします。後はディック.オーツとビリー.ドリューズのソプラノバトル。実はソプラノバトルっていうのはVJOくらいしかやらない気がします。ブルックマイヤーのDing Dong Dingとかもそうでしたね。
続いてはブルックマイヤーのアレンジのWillow Tree。この人のクラスターな和声の積み方、ってカッコいいんだよなぁ。リニア.アレンジメントの祖はビル.ホルマンなんだけどボブはビルと近い所にいたし、サドもリニアに書く人なんだけど、サドとは違うモダンさがあるんだよなぁ。ソロは新加入のベーシストPhil Palombiとテレル.スタッフォード。ちなみにこの2曲、1枚目とリードラッパの音色や馬力が少し違います。もしかしてこっちはFrank Greenが吹いてるのかなぁ?だとしたら個人的にはこっちの方が好みだなぁ。
3曲目はスティービーのDon't worry 'bout a thing。アレンジはサド。へー、こんなのあったんだ。私は70年代のサドメルをほとんど持っていないのでこれがカコに録音されたものかは知らないのです。ディック.オーツのソロで案外あっさり終わっちゃいます。
4曲目はKid's are pretty people。ソロはジョン.モスカとラッパのスコットとテレルの三人。ジョン.モスカの長尺のソロ聴くの久しぶりだなぁ。エンディングのテレルのプランジャーも強力だし。アンサンブルのイントネーションもばっちり揃ってて、ラッパが総入れ替えになった違和感みたいなのはないです。アールみたいな歌い回しを除けばね(笑)。
5曲目はThe waltz you swang for me。トロンボーンのJason Jacksonは最近良く名前を見かける人です。来年年明けのチャールス.トリヴァー.ビッグバンドでも来るので楽しみな人です。もう一人のソロはソプラノのビリー.ドリューズ。確かラッパのグレン.ドリューズと兄弟だったと思うのですが、この人ももうこのポジションで10年以上ですよね。ていうかサックス隊は全員在籍年数が10年を越えている気がします。
でもってシメはLittle Rascal on a Rock。サド.ジョーンズのアレンジメントの極地みたいなのを持ってきました。サドの譜面って内声のパートが難しいんですよね。この人のアレンジでは内声を吹く楽しさっていうのを沢山教えてもらいました。こういう譜面を毎週吹けるという素晴らしい特権を持ったビッグバンドに参加できるっていうのは本当に楽しいことなんだろうなぁ、と音を聴いてて思いました。
このアルバムはガードナー、モスカ、オーツ、というセクションリードの時代は終わったけれど、ずっとこの音楽は守るんだよ、っていう決意声明みたいなアルバムだと思います。 だからこそヴァンガードで録音したのだろうと。しかも永らく録音していなかったものばかり。
それにしても、今までのヴァンガードの録音だと大抵グラスの音とか聴こえてて、それがまたなんとも言えないライブ感を醸成していたのですが、今回の録音では演奏中は実に静かです。ヴァンガードも禁煙になって久しいようですし、聴衆の方に時代の変化を感じました。漏れ聞く所によると、このアルバムは今年のグラミーの最終選考に残っているようです。グラミー取れるかどうかは微妙ですが、こうしたものがきちんと評価される向こうの音楽業界は健全だなぁ、と思います。
(2008年12月 辰巳哲也)
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