1. | Fascinatin' Rhythm [ ジョージ・ガーシュウィン ( George Gershwin ) / arr. Kirk Garrison ] ( 8:52 ) |
2. | Donny's Tempo [ Mike Kocour ] ( 10:57 ) |
3. | Girl Talk [ Hefti-bobby Troup / arr. Brad Morey ] ( 8:47 ) |
4. | Zoot [ Bill Holman ] ( 5:53 ) |
5. | A Foggy Day [ ジョージ・ガーシュウィン ( George Gershwin ) / arr. Jim Martin ] ( 5:33 ) |
6. | My One and Only Love [ Mellin / arr. Jim Martin ] ( 9:13 ) |
7. | Jumpin' at the Westside [ Antonio J. Garcia ] ( 9:07 ) |
8. | The Touch of Your Lips [ Ray Noble / arr. Jim Martin ] ( 8:55 ) |
9. | Taylor's Waltz [ Kick Garrison ] ( 7:39 ) |
10. | Speak Low [ Weill / arr. Jack Cooper ] ( 2:41 ) |
11. | She's Gone [ Mangione ] ( 4:56 ) |
12. | Stella by Starlight [ Victor Young / arr. Thomas Matta ] ( 6:05 ) |
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アメリカの大学のビッグバンドを構成するのはあくまでジャズを専攻する学生達、即ちプロ予備軍なわけで、同じ学生バンドと言っても日本のそれとは一線を画するものです。ノーステキサス大学は昔からアメリカのジャズ教育に大きな貢献をしており、ここのビッグバンドから多くの素晴らしいミュージシャンが輩出されていることは皆さんも良くご存知でしょう。このバンドは毎年アルバムを制作しますが、それは彼らのクォリティが素晴らしいということよりも、活動成果の記録ということもできるわけです。メディアの進化というのもあるのでしょうが、今回の作品はCDのみならずDVDでも制作されており、アメリカのジャズ教育の現場というものを非常にリアルに伝えるものになっています。映像を見てわかるのは、学生のクォリティだけでなく、彼らの周りにいる教授陣などの大学側のスタッフが彼らの才能を尊重し、彼らがより高い次元に到達することをサポートしつつ、同時に彼らが最高の状態で演奏できるRob PartonのJazztech Bigbandはシカゴをベースにして80年代中期から活躍するビッグバンドです。リーダーのRob Partonはトランぺッターであり、音楽学校で教鞭を取ったり、様々なフォーマットでもバンドも持っており、シカゴでのジャズを中心とした音楽の現場で非常に勢力的に活躍している人です。このアルバムは彼が90年代後半にインディーで制作したもので、売り切れ御免状態になって、一部ビッグバンドマニアの間でコピー音源が回っていたと推測される作品なのですが、今回めでたく再プレスの運びとなった、というわけなのです。しかも再発売については当musicstore.jp傘下のBELLからなのです。実は私の学生時代に所属していたビッグバンドサークルの現役諸氏や若手のOBの世代はこのあたりのアレンジ大好きなんです。恐らくは待ち望んでいたアマチュアバンドや学生バンドの方が大勢いらっしゃると思います。
M1はお馴染みFascinating Rhythm。ここでのアレンジはラテンジャズです。リーダーがラッパということもあり、ブラスセクションは強力です。そういえば、シカゴと言えばシカゴ響もあるし、そもそもイリノイ州にはメーカーも沢山あるし、ブラスの層は物凄いのかもしれないですね。ジャケットにゲストでVince Dimartinoがクレジットされていますが、この曲でロブとチェイスしています。ヴィンスはビッグバンドでのキャリアもあるのですが、クラシックも吹ける人で、教鞭も取るし、International Trumpet Guildでも要職を務めたりしている人です。ライナーを見ていると、ヴィンスはロブの学生時代の先生でもあったようですね。二人でハイノートをビュンビュン吹いてますが、バトルというような力技合戦ではなく、実に楽しそうです。このアレンジを書いているKirk Garrisonは現在のJazz Tech Big Bandのメンバーです。
M2はMike Kocourのオリジナル。コードチェンジや曲の雰囲気はサド.ジョーンズのQuietudeに非常に似ています。曲の後半のコードチェンジとサイズをいじってますが、相当似てます。サドがこれ聴いたらどんな顔するかなぁ(笑)。
M3はニール.ヘフティの名曲、Girl Talk。リードトロンボーンのJack Schmidtがフィーチャーされます。ミュート+プランジャーのプレイって最近聴いてなかったような気がします。これが録音された頃はまだアル.グレイも健在だったことを思い出しました。
M4はBill Holmanの譜面。ロブのサイトを見に行くと『我々はレパートリーバンド(売られている過去の譜面だけをやるバンドの意味と思われる)ではないが、こうした譜面も取り上げる』と謳っています。そりゃそうだ。ビッグバンドのようにきちんと譜面が残っているものは制作した人一代限りである必要はなく、クラシックの音楽がそうであるように受け継がれて行かないと残らないもの。『オリジナル』ということに拘りすぎて『過去の良いもの』に目を向けないような姿勢になりがちになるのは良くない。だって、スタンダードにオリジナルのアレンジを施したところで、その原曲自体が古いものなんだから、「オリジナリティ」を過剰に振り回すのは屁の突っ張りだと思っちゃうもん。私は本家ホルマンのこの演奏を聴いたことがありませんが、いい譜面だと思います。
M5とM6はロブの奥さんであるKristy Partonのヴォーカルフィーチャー物です。アレンジはJim Martin。この人のアレンジはいくつか吹いたことがあるので調べてみたところ、この人もシカゴベースの人でした。シカゴにはChicago Metropolitan Jazz Orchestraというバンドもあって、そちらに傘下しているようで、よく見てみるとメンバーは結構Jazz Tech Big Bandと被ったりしてます。いずこも状況は同じだなぁ(笑)。M6はロブがソロということで、いわゆる夫婦随唱になってます。
M7はAntonio Garciaのオリジナル。タイトルがJumpin' at the Woodsideをもじったものであるところから推測できる通り循環系の曲で、ソロが3人に回ります。このバンドはソリストは一曲多くても二人くらいな作りだし、案外ブルースや循環をやらない印象があるので、ちょっと以外というような、お馴染みな進行の曲が出てきて安心するというか、そんな感じがしました。
M8もJim Martinのアレンジ。あまり日本では目にしないレイ.ノーブルのスタンダード。ソロはフリューゲルホーンのみ。ミディアムテンポでゆったりソロが回った後に豪華なトゥッティがついています。
M9はM1でも書いてるKirk Garrisonのオリジナル。ロブ.パートンのアルバムのレパートリーはスタンダードを多めにしてこうして少しずつオリジナルのアレンジメントを挿入するというものが多いように思えるのですが、このやりかたは聴きやすさ、もしくは親しみやすさを基調にしながら全体はモダンな印象を感じさせる上手い手だと思います。
M10はヴォーカルトラック。曲中でソリストいないなーと思ったらスキャットでした。ヴォーカル物は基本的に短いトラックになりがちなんですが、これも非常にあっさりしたトラックでした。
M11はチャック.マンジョーネのバラード。マンジョーネっていうとfeel so goodのイメージが大きすぎて、70年代フュージョンの人っていう印象だけがあるのだけど、メッセンジャーズにもいた人だし、ジャズという視点でも作曲家としていい曲多いんじゃないかという気がしてきました。ソロはロブの独り舞台ですが、しっとりとしたいい演奏だと思います。
クローザーのM12はStella by Starlight。アレンジはThomas Matta。ソロはラッパとテナーに回ります。アップテンポな作りですが、サックスソリが1コーラスある他はそれほど細かい仕掛けはなく、ソリストの力量で出来が大きく左右する感じの譜面です。
通して聴いて、やはりアメリカでもシカゴのような大きな都市はミュージシャンの層が非常に厚いなぁと感じます。こうしてレビューを書くときはアレンジャーなどについての情報をネットで調べたりするのですが、案外シカゴの人脈はこうしたビッグバンドの世界で顔が利くのではないかと思えてきました。このバンドについていえば、NYCのミュージシャンみたいにとにかく難しいことや先鋭的なこと、みたいなことでなく、いい意味で保守的だと思います(シカゴにはAACMみたいなのもあったけど)。素材もスタンダードなものが多く、しかも過剰に難しくないので、アマチュアのバンドの人達にも「これやりたい」と思わせるようなレパートリーが沢山ありますし。日本の社会人や学生のビッグバンド関係者に人気が高いのも納得です。
(2007年12月 辰巳哲也)
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