1. | Without a Song [ Edward Eliscu. Billy Rose and Vincent Youmans / arr. Chip McNeill ] ( 8:38 ) |
2. | Besame Mucho [ Conseulo Velasquez / arr. Steve Wiest ] ( 5:02 ) |
3. | Ain't No Sunshine When She's Gone [ Bill Witchers / arr. Steve Wiest ] ( 10:34 ) |
4. | Vita Bella [ Dennis DiBlasio ] ( 5:09 ) |
5. | Dr. Fox Ph. D. [ Dennis DiBlasio ] ( 4:44 ) |
6. | Lost Horizons [ Christian Jacob ] ( 9:04 ) |
7. | Surviving Soho [ Dennis DiBlasio ] ( 5:57 ) |
8. | The Days of Wine and Roses [ ヘンリー・マンシーニ ( Henry Mancini ) / arr. Dennis DiBlasio ] ( 8:00 ) |
9. | Darn That Dream [ Eddie Delange and Jimmy Van Huese / arr. Dennis DiBlasio ] ( 7:20 ) |
昨年惜しくも亡くなったメイナード・ファーガソン(以降、MFと略す)の最後のアルバムです。50年代のケントン時代から本作に至るまで、最後まで衰えることのなかったハイノートはまさにワン・アンド・オンリーでした。MFはソリスト的にジャズトランペットの歴史の流れどうこうということとはほぼ無縁の屹立した存在であり、彼のバンドから名前を上げていったミュージシャンの数を考えてもすばらしいバンドリーダーであったと言えるでしょう。ジャズ・インプロヴァイザーとしてイノベーティブな足跡を残したというのとはちょっと違いますが、「一音吹いたらすぐそれとわかる個性」という点で、やはりジャズという音楽の世界では巨人だったのだと思います。それにしても、これが亡くなる直前の音とは思えません。世間にはMFのように吹きたい!っていう人も大勢いるでしょう。MFがこの歳でこれだけ吹ききれるということは気合いや根性ではないということの証左であると思います。MFファンは頭を垂れて彼の最後の咆哮を聴いて下さい。
1曲目はスタンダードの「Without a Song」。アレンジはチップ・マクニール。この曲はMFが子供の頃から歌っていた曲で、MFはレコーディングのリハ中でも色々な節でウ立て板らしく、それが微笑ましかったとライナーに書かれています。MFは正確に8分音符に乗っかって吹くとかいうことにこだわらず、朗々とおおらかに歌います。もう貫禄十分という感じです。
2曲目「Besame Mucho」もお馴染みべサメ・ムーチョ。アレンジはトロンボーンのSteve Wiest。もちろんモダン・ラテンテイストなアレンジになっています。ソロはMFとウェイン・バージェロンのいわゆる師弟バトルです。丁度このレコーディングと相前後してバージェロンのアルバム(Play well with others)の録音があって、そこでもこの2tpでのソロが聴けるので、これはどちらかへのThank you orderな感じがします。高いところばっかり吹いてるのに、バトルというよりは打ち解けた会話に聞こえます。
3曲目はビル・ウィザースの「Ain't No Sunshine When She's Gone」。この曲は基本的には4ビートのマイナーブルースです。ジャズ・ビッグバンドで時代時代の流行りものを貪欲にレパートリーに取り入れるということでは、ウディ・ハーマンとMFがその最右翼でしたが、MFの方がサービス精神旺盛だったと思います。「スター・トレック」や「ロッキー」を聞いてこの音楽の世界に来た人、大勢いるではないでしょうか。
4曲目「Vita Bella」はMFバンド在籍暦の長いDenis DiBlasioのオリジナル。ここではMFはフリューゲルを吹いています。が、他のプレイヤーだとラッパとフリューゲルだとかなり音色の毛色が変わるのに、MFだとなぜかそんなに大きく変わらないのが不思議です。
5曲目「Dr. Fox Ph. D」もDenis DiBlasioのオリジナル。コード進行はSecret Loveと同じです。曲自体は2000年にRowan Universityから顕彰されたときの記念の曲のようで、タイトルはMFの70年代後期のニックネームだったようです。ここからリードトランペットがバージェロンからパトリック・へッションに替わりますが(「Lost Horizons」除く)、バージェロンがナタの切れ味とすると、ヘッションは日本刀というか剃刀というようなイメージを受けます。
6曲目「Lost Horizons」は近年LAで引っ張りだこの人気ピアニスト、クリスチャン・ジェイコブのオリジナルで、この曲だけピアノもクリスチャンが弾いています。タイトルはMFのお気に入りの映画のタイトルから引用したそうです。なんでクリスチャンが引っ張りだこなのか良く分かる演奏です。フランス出身の彼がアメリカでの活動の場をNYCでなくLAにしたのは、実に正解だと思います。
7曲目「Surviving Soho」もDennis DiBlasioのオリジナル。タイトルは昔のロンドンのSOHOでのMFのエピソードから取っているようです。今のロンドンのSOHOはオシャレな場所だというイメージがあるのですが、昔はかなり違っていたそうです。そういうイメージは曲からはあんまり聞こえてこないのですが(笑)。
8曲目はマンシーニの「The Days of Wine and Roses」です。いわゆるジャズの人のテーマの吹き方にくらべると、かなりべらんめぇな吹き方なのですが、御大だから許されてしまうのでしょうか?アレンジャーのDennis BiBlasioのソロも光っています。
9曲目「Darn That Dream」にこの曲を持ってきたのは、このアルバムに関わったMFバンド関係者全員がそういう気持ちだからでしょう。だってこれが一ヶ月後に亡くなっちゃう人の音だとは思えませんもの。まさにDarn That Dreamなのであります。クロージングの曲のタイトルはMF関係者およびファン一同の総意です。
曲紹介ではMFのプレイについて触れませんでした。なぜなら、どれも基本的にはテーマ吹いてソロ吹いて最後にアルティッシモていう構図なのですから。そしてただ音域だけを見たら、バージェロンやヘッションだて負けてない。ただMFの圧倒的に凄いところはその歌いっぷりでしょう。エリック宮城さんがとある本の中で、ファーガソンの好きなオペラ歌手が...ということを書かれていますが、MFの歌い方はまさにオペラのアリアのようであり、そうしたことをラッパでスタイルとして確立してしまった空前絶後の人だと思います。ツアーマネージャーがプロデュースを担当し、ジャケ中にMFバンドの事務方までクレジットされたこのようなアルバムを遺せたファーガソンはとても幸せな人生を送った人だと実感しました。
(2007年9月 辰巳哲也)
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