1. | This is What It Is [ Jimmy Heath ] ( 5:01 ) |
2. | Una Mas [ Kenny Dorham / arr. Jimmy Heath ] ( 5:26 ) |
3. | I Remember Tangle [ Whit Williams / arr. Vince Norman ] ( 6:07 ) |
4. | Losing Game [ Jimmy Heath ] ( 7:50 ) |
5. | Without You, No Me [ Jimmy Heath ] ( 6:47 ) |
6. | The Radiator man is Well [ Whit Williams / arr. Mat Belzer ] ( 4:25 ) |
7. | A Day in Copenhagen [ Slide Hampton ] ( 6:21 ) |
8. | Diana [ Slide Hampton ] ( 4:30 ) |
9. | Get Home Before Dark [ Whit Williams / arr. Vince Norman ] ( 5:13 ) |
10. | Little Rootie Tootie [ Thelonius Monk / arr. Slide Hampton ] ( 7:25 ) |
アメリカは広い国なので、地方都市に思わぬ名手がいたりするものです。そんなわけで今回のWhit Williams。初めて聞く名前なのでネットで調べてみたらネットにもほとんど情報がないのには驚きました。でもケネディセンターでほぼ毎年演奏してるようで、ボルチモアのジャズシーンに大きな貢献をした人であろうことが想像されます。映像を見るに、テナーとバリトンがメイン楽器のようです。このビッグバンドのプロジェクトは彼の長年の夢が実現したものですが、それは当然ボルチモアにゆかりの深い、ジミー.ヒースとスライド.ハンプトンという二人の名アレンジャーの全面協力という豪華なセッティングになりました。スライドは有名ですが、ジミー.ヒースもアレンジに定評があって、90年代に自己名義のビッグバンドのアルバムを出しているんですよ。
M1のThis Is What It Isはジミー.ヒースのオリジナルで、チェンジはWhat is this thing called loveなのでこのタイトルになった模様。このアルバムにはソロオーダーが書いていないのですが、先発のバリトンサックスがWhitでしょう。この人はテナーを持たせるとベン.ウェブスター系なのですが、バリトンサックスもなかなかにゴリっとした、というかイカツい感じです。ペッパー.アダムスやゲイリー.スムリアンみたいなのとはちょっと違うバキバキした感じは個人的には好きです。バンドもブラスが豪快に鳴る感じで、期待が膨らみます。
M2はドーハムのUna Masが来ました。これもジミー.ヒースのアレンジ。テーマのトロンボーンのグリッサンドの指示が非常にファンキー。M1のイントロでもサックス隊のコブシの回し方がゴキゲンだったのですが、これは多分ジミーの意匠なんでしょう。こういうセンスは最近の若手のアレンジャーいはないもので、いい感じに黒いサウンドになってて実に良いです。最近のモダンビッグバンドのカチっとしたアンサンブルに耳が慣れていると、なんだか昭和のプロレスを見るのに近い感覚があります、って書いたら分かってもらえるかなぁ(笑)。
M3のI Remember TangleはWhitのオリジナル。アレンジは去年ちょっと話題になったヴィンス.ノーマン。彼のホームグラウンドも同じヴァージニア州なので、彼は若い頃Whitに世話になったかもしれないですね。プレイのスタイルから考えてWhitの曲はもう少し古風な感じのものをイメージしていたのですが、なかなかにお洒落です。ヴィンスのアレンジも正攻法なモダンビッグバンドの譜面といった趣です。
M4は再びジミー.ヒースのオリジナルのバラード。ソリストの表記はないけど、このテーマとソロは多分Whitだと思います。いやぁゴツくて臭くて最高です。音楽学校を出て、というのではなく、昔の叩き上げの人っていうのは独特の歌い回しっていうのが善くも悪くもハッキリしているのだけど、この人もそういうタイプ。それと、バンド自体もかなりサウンドが黒目です。こういう気配のビッグバンドって考えてみたら最近あんまり聴いてなかった気がします。
M5もヒースのオリジナル。ジミー.ヒースと言えばなんと言ってもGinger BreadBoyという看板曲があり、作曲家として素晴らしいのですが、これも哀愁感漂う佳曲だと思います。ソリのラインとか格好いいんですよ。ジミー.ヒース、流石にLittle Birdと呼ばれるだけのものがあります。これをやってみたい、っていう社会人や学生のビッグバンドは結構いそうだなぁ。
M6のThe Radiator Man Is WellはWhitのオリジナルのジャズワルツ。ウィっってソロプレイは相当泥臭い系なのですが、作曲は非常に洗練されていると思います。トロンボーンのソロはスライド.ハンプトンではないかと推測します。 アレンジのMatt Belzerはメリーランド大学とジョン.ホプキンス大学で教鞭を取っている人でした。Whit門下だと思われますね。柔らかくて良い譜面だと思います。
M7のA Day in Copenhagenはスライド.ハンプトンのオリジナルで、これは本人がデクスター.ゴードンなんかとデンマークで録音したトラックが猛烈にカッコいいんですよね。してこれは作曲者本人によるアレンジで、トロンボーン2本のバトルソロになってます。これもカッコいい譜面です。
M8のDianaもスライドのオリジナル。ミディアムスローで、Ja-daみたいな雰囲気のある曲です。ここでのライナーでは、読者の大半が社会人や学生ビッグバンド関係者だろうという意識で書いていますが、こういうミディアムスローのリラックスした曲の譜面って、ありそうでないんですよね。こういう曲がレパートリーにあると良いだろうなぁと思います。スライドのアレンジってアンサンブルが物凄く重厚ですが、まさにゴージャスな譜面だと思います。
M9のGet Home Before DarkはWhitのオリジナルで、アレンジはヴィンス.ノーマン。ややアブストラクトというかミステリアスな感じで曲がスタートします。途中からテーマが出ますが、構成はかなり複雑です。途中ラテンビートの上でホールトーンな響きを使うところでリー.モーガンのCornbreadを思い出してしまいました。なんとなくストリートな感覚みたいなイメージがある曲です。
M10はモンクのLittle Rootie Tootie。アレンジはスライド。スライド.ハンプトンのアレンジってイントロがなんだか凄かったりするんですが、これもそのタイプ。リードラッパに物凄い要求をしていますが、それをきっちり吹いてるのがまた凄い。しかもソロまで吹いてる。推測ですが、これはスライドがカーネギーホール.ジャズバンドに書いたものかもしれません。リードの譜面はファディスが念頭にある感じがします。アメリカにはハイノート吹きは掃いて捨てるほどいますが、この人も凄いなぁ、と思いました。
恐らくはこれはスタジオではなくホールか何かを使ってマイク立てて録音した感じで、いわゆるスタジオ録音と違う空気感があること、譜面の意匠もあるのかもしれないけれど、サウンドが全体的に黒い感じがしました。最近どちらかというと白人系のビッグバンドばかりレビューしていた感があるので、それで新鮮に聴こえるのかもしれません。善くも悪くも、最近は大学できちんと勉強した人ばかりなので、トーンやニュアンスがどれも似てくる傾向にあるのですが、このバンドにはあまりそれが感じられません。そしてそれがいい方に作用していると思います。ところで、レコードレーベルのMAMAは90年代にはMAMA Foundationとして様々な活動を行う傍らでCDも制作していたのですが、一度消滅して、再度復活したようです。どういう形で復活したのかよく分からないのですが、今後どういうものを出してくるか興味深いところです。本作のような楽しめる作品を継続して出して欲しいなぁと思わずにはいられません。
(2008年3月 辰巳哲也)
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