1. | Tadd s Delight [ Tadd Dameron ] ( 5:27 ) |
2. | South of Capricorn [ Clyde Connor and Vince Norman ] ( 6:59 ) |
3. | Remember Me When... [ Vince Norman ] ( 6:24 ) |
4. | Words Cannot Express [ Vince Norman ] ( 5:16 ) |
5. | Where's My Hasenpfeffer? [ Vince Norman ] ( 6:20 ) |
6. | El Otono [ Vince Norman ] ( 6:14 ) |
7. | Voo Zsa Day [ Vince Norman ] ( 4:31 ) |
8. | Suite Baby Ray: I Left My Baby in Baltimore [ Vince Norman ] ( 6:26 ) |
9. | Suite Baby Ray: Back to Bayview [ Vince Norman ] ( 6:21 ) |
10. | Suite Baby Ray: Coming Home [ Vince Norman ] ( 4:50 ) |
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日本に入って来るジャズの情報というのは大半がニューヨークとロスからのものですが、それ以外にも当然のことながら米国全土で様々なシーンがあります。という話を冒頭に持って来たと言うことは、つまり、このヴィンス・ノーマン/ジョー・マッカーシーのビッグバンドはニューヨークやロスのバンドではありません。このバンドは、アメリカ南東部、ヴァージニア州のバンドです。ライナーをドラムスのジョン・ライリーが書いているとはいえ、参加しているミュージシャンの事前情報ゼロです。ヴィンス・ノーマンはピアノと木管楽器を操るマルチなプレイヤー/コンポーザー/アレンジャーであり、コ・リーダーのジョー・マッカーシーがドラマーです。10トラックのうち、セクステットのトラックが3曲あり、ヴィンスはビッグバンドではピアノを、コンボではサックス類を吹いています。
1曲目の「Taddis Delight」はタッド・ダメロンの名曲です。タッドはビバップ期の最も著名な作曲家の一人であり、常に「美しいこと」を求めていた人ですが、オープナーに自作曲を持って来ずにタッドの曲を持って来たということでヴィンス・ノーマンの音楽の指向性が窺えます。それは原曲に忠実なアレンジからも感じられます。テーマでのピッコロのユニゾンがかわいらしいです。ベースが、アコースティックベースだったらもっといいのにと思います。
2曲目の「South of Capricorn」はオリジナル。8ビート系でかなりモダンな感じの曲です。コード進行が相当複雑でカッコイイです。ダメロンとは大分キャラクターが違うとは言え、ヴィンスの音楽の核には「美しい」ということがあるのだと推測できます。ここでは多分5弦のエレクトリックベース使ってますが、これがサウンドのモダンさに一役買ってます。アコースティックベースとエレクトリックベースは別の楽器なので、こうした使い分けはとっても大事だと思います。
3曲目の「Remember Me When...」はセクステットでのトラック。2管でギター入りのリズム隊という編成です。ヴィンスの曲のコードはツー・ファイヴ的なものをかなりひねってくるタイプなんだけど、個人的には結構こういうの好きです。曲中で3/4に変化したりと、仕掛けもいろいろあります。
4曲目の「Words Cannot Express」はタイトルトラック。直訳すれば「言葉では説明できない」ですが、この言葉には非常に共感を覚えます。私はこうして紹介文を書いているけど、これはあくまで私の主観に過ぎなくて、感じ方は人それぞれだし。ポップスやロックなんかの「歌詞」のある音楽が好きっていうのは実は音楽ではなくその歌詞、すなわち言葉に惹かれているなんてことが大半だったりするわけで。マイルスは“music speaks by itself”みたいなことを言ったけど、最終的にはそういうことなんだよなぁ。良いバラードだと思います。
5曲目の「Where's My Hasenpfeffer?」はブルースです。ここまで聴いて来て、個人的にはヴィンスの和声のセンスは結構好きなんですが、どうしても自分の耳にはソリストに少し物足りなさを感じます。これはこうしたローカルのバンドのある意味限界のようなものです。ゲストでソリストを呼ぶとかするとかなり印象が変わるのではないかと思います。
6曲目の「El Otono」はコンボでの演奏。ここでのギターの使い方はいわゆるレス・ブラウン・スタイルの応用ですね。ギターと管をユニゾンさせるとギターのハーモニクスが立って面白いサウンドが得られるのですが、これはそういう効果がきちんと出てます。
7曲目の「Voo Zsa Day」はコンボでトランペットが抜けてます。循環をひねっていて、ギターとサックスのウネウネしたユニゾンのラインのサウンドは今まで聴いてきたトラックとはかなり異質でモダンです。一瞬ジョンスコとロヴァーノのチームが頭に浮かびました。
8〜10曲目の「Suite Baby Ray」は組曲になっています。タイトルの流れを見るに、ヴィンスがボルチモア時代に見つけた彼女をヴァージニアに連れて来たというエピソードなのでしょうか。8曲目の「I Left My Baby in Baltimore」は少しラテンなフレイヴァーがあります。今まで双頭リーダーのジョー・マッカーシーのことを書いていませんでしたが、この人の前に出過ぎない感じのプレイには非常に好感が持てます。サイトを覗いてみたら、ドラムだけでなくパーカッション全般をジャンル関係無しにできる人のようです。思うに、「自分が自分が」って叩くのではなくて、バンドの色彩感を与えるということをきちんと理解しているのだなぁという感じを受けます。
9曲目の「Back to Bayview」はツー・スリーのラテンクラーベに乗った曲です。ドラムスとパーカッションで多少オーバーダブしてるかもしれません。
10曲目の「Coming Home」はストレイトアヘッドな曲想。アップテンポでなかなかにカッコイイ曲です。エンディングが割とあっさりしてるので、CDのエンディングとしてはちょっと唐突な感じがしましたが、悪くないです。
通して聴いてみて、ヴィンスの作編曲、ハーモニーのセンスは好きです。奇を衒わないし、引き出しいっぱい持ってる感じがします。譜面も決して難解だったり、プレイヤーに過剰な負担を強いるものではないし、もし譜面が入手できるのであれば、やりがいのある面白いものが多いと思います。ただ、1リスナーとしては、どうしても日頃ニューヨークやロスの音に聴き慣れているので、アメリカの地方都市のビッグバンドを聴いているとどうしてもソリストのところで少し見劣りするという印象が否めません。ヨーロッパのビッグバンドによくあるケースですが、個人的にはゲストでフィーチャード・ソロイストを呼んでやった方がおもしろいものができるような気がしますし、そういうフォーマットで是非聴いてみたいと感じさせるポテンシャルが、このバンドにはあると感じました。
(2007年8月 辰巳哲也)
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