1. | 忘れられし英雄たち ( Forgotten Heroes - Concert March ) [ ナイジェル・クラーク ( Nigel Clarke ) ] ( 9:06 ) |
2. | 太陽神の王国で: 夜の死 ( In The Realms of the Sun God - At Dead of Night ) [ キット・ターンブル ( Kit Turnbull ) ] ( 1:32 ) |
3. | 太陽神の王国で: 太陽神の昇天 ( In The Realms of the Sun God - The Ascension of the Sun God t ) [ キット・ターンブル ( Kit Turnbull ) ] ( 3:06 ) |
4. | 太陽神の王国で: 生贄の儀式 ( In The Realms of the Sun God - Rite of Sacrifice t ) [ キット・ターンブル ( Kit Turnbull ) ] ( 3:18 ) |
5. | 太陽神の王国で: 太陽神の復活 ( In The Realms of the Sun God - The Rebirth of the Sun God ) [ キット・ターンブル ( Kit Turnbull ) ] ( 1:49 ) |
6. | アンデルセンの物語: 序曲〜すずの兵隊 ( Tales from Andersen - Overture : The Steadfast Tin Soldier ) [ マーティン・エレビー ( Martin Ellerby ) ] ( 1:58 ) |
7. | アンデルセンの物語: 独り言〜マッチ売りの少女 ( Tales from Andersen - Soliloquy: The Little Match Girl ) [ マーティン・エレビー ( Martin Ellerby ) ] ( 2:08 ) |
8. | アンデルセンの物語: スケルツォ〜裸の王様 ( Tales from Andersen - Scherzo: The Emperor's New Clothes ) [ マーティン・エレビー ( Martin Ellerby ) ] ( 1:16 ) |
9. | アンデルセンの物語: 牧歌〜雪の女王 ( Tales from Andersen - Idyll: The Snow Queen ) [ マーティン・エレビー ( Martin Ellerby ) ] ( 1:42 ) |
10. | アンデルセンの物語: 終曲とコラール〜赤い靴 ( Tales from Andersen - Finale and Chorus: The Red Shoes ) [ マーティン・エレビー ( Martin Ellerby ) ] ( 2:22 ) |
11. | コンサートバンドのためのパルティータ: 入祭唱 ( Partita for Concert Band - Introit ) [ ダロル・バリー ( Darrol Barry ) ] ( 4:07 ) |
12. | コンサートバンドのためのパルティータ: 即興 ( Partita for Concert Band - Impromptu ) [ ダロル・バリー ( Darrol Barry ) ] ( 2:23 ) |
13. | コンサートバンドのためのパルティータ: エレジー:2004年12月26日 ( Partita for Concert Band - Elegy (31/12/04) ) [ ダロル・バリー ( Darrol Barry ) ] ( 4:53 ) |
14. | コンサートバンドのためのパルティータ: 終曲 ( Partita for Concert Band - Finale ) [ ダロル・バリー ( Darrol Barry ) ] ( 4:14 ) |
15. | ロートレックの3枚の絵: サーカスにて〜曲馬師 ( Three Paintings by Lautrec - At the Circus: The Equestrian ) [ ローリー・ジョンソン ( Laurie Johnson ) ] ( 2:27 ) |
16. | ロートレックの3枚の絵: 赤毛の少女 ( Three Paintings by Lautrec - The Girl With The Red Hair ) [ ローリー・ジョンソン ( Laurie Johnson ) ] ( 2:46 ) |
17. | ロートレックの3枚の絵: 踊るショコラ ( Three Paintings by Lautrec - Chocolate: Dancing ) [ ローリー・ジョンソン ( Laurie Johnson ) ] ( 2:10 ) |
18. | 騎士道 ( Chivalry - Symphonic Tone Poem for Brass, Wind and Percussion ) [ マーティン・エレビー ( Martin Ellerby ) ] ( 14:05 ) |
19. | スカイライダー ( Skyrider: Concert March ) [ フィリップ・スパーク ( Philip Sparke ) ] ( 3:40 ) |
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イギリスのポリフォニック・レーベルの人気シリーズ「Great British Music for Wind Band」第11集です。数々の話題曲を収録し、イギリスの吹奏楽の最新事情を一望できるこのシリーズは、世界中から注目を集めています。
今回もナイジェル・クラーク、マーティン・エレビー、フィリップ・スパークといったこのシリーズでおなじみの人気作曲家の作品に加え、最近注目を集めつつあるダロル・バリーやキット・ターンブル、さらにローリー・ジョンソンの隠れた名曲も収録されており、今回も聞き逃せない一枚となりました。
表題作の「騎士道」を含め、エレビーの作品からは2曲が収録されています。
「アンデルセンの物語」は、エジンバラ市カウンシルの委嘱で作曲され、2005年11月28日にエジンバラのアッシャー・ホールで初演されました。2005年がデンマークの童話作家ハンス・クリスティアン・アンデルセンの生誕200年にあたることから、アンデルセンの童話から五つを選び、それぞれ「序曲:すずの兵隊」「独り言:マッチ売りの少女」「スケルツォ:裸の王様」「牧歌:雪の女王」「終曲とコラール:赤い靴」と名付けた5曲からなる組曲として書き上げられました。チャーミングな小品ですが、アンデルセンの童話がそうであるように、この曲も表面的な美しさだけでなく、その奥底に沈む暗さも表現しています。
交響詩「騎士道」は、イギリス国内で開かれる三大ブラスバンド・チャンピオンシップの一つで毎年5月にケンブリッジのコーン・エクスチェンジで開催される全英マスターズ・ブラスバンド選手権の2003年の課題曲として作曲されました。吹奏楽版はこの録音のために作曲者自身によって新たに書かれたものです。
そのタイトルから想像できるように、愛と戦いをテーマに騎士の物語を映画のようにストーリーを組み立てて書かれており、それぞれ「ファンファーレと序曲」「戦闘」「一つ目のロマンス」「野外劇」「二つ目のロマンス」「馬上試合」「戦いへ」「名誉(ルーカスタへ)」「一回目の十字軍遠征」「三つ目のロマンス」「行列」「二回目の十字軍遠征」「四つ目のロマンス」「終曲」と名付けられた切れ目のない14の部分から構成されています。もうこれだけで曲の中で展開される場面が目に浮かぶでしょう。エレビーの魅力たっぷりの作品です。
キット・ターンブルはスパークやエレビーの次の世代の作曲家として注目を集めています。「太陽神の王国で」はアステカ族の儀式をテーマに書かれた作品で、2004年3月に王立ノーザン音楽大学で行われたイギリス吹奏楽協会(BASBWE)総会でノーサンプトン男子校ウィンド・アンサンブルの演奏により初演されました。
アステカ族は太陽神ウィツィロポチトリが夜の神テスカトリポカに敗れての太陽がなくなってしまわないよう、ウィツィロポチトリに生きた人間の心臓を捧げる儀式を行っていました。首都テノチティトランの神殿では毎年1万人が生贄として殺され、特に1487年には8万人が犠牲になったと言われています。この曲は「夜の死」「太陽神の昇天」「生贄の儀式」「太陽神の復活」と題された4曲からなる組曲で、一連の儀式をその流れに沿って、しかしスマートなサウンドで描いています。
「入祭唱」「即興」「エレジー:2004年12月26日」「終曲」の4曲からなる「コンサートバンドのためのパルティータ」は、日本でも最近注目を集め、国内盤でもその作品が取り上げられているダロル・バリーの作品です。バリーは1956年にソルフォードで生まれ、ロイ・ニューサムやゴフ・リチャーズに学び、その後王立音楽大学でジョゼフ・ホロヴィッツに師事しています。ソルフォード大学やアクリントン・アンド・ローセンデイル大学、バーンズリー大学で講師を務め、2002年3月からは中東オマーンで王立近衛連隊の座付き作編曲者として吹奏楽団やビッグバンド、パイプ&ドラム、そしてオマーン王立交響楽団のために音楽を書いています。
イギリスの映画やテレビ番組の音楽を数多く手がけ、吹奏楽では組曲「イギリスの城」や「パジャントリー」、組曲「ロイヤル・ツアー」などで知られるイギリス作曲界の重鎮ローリー・ジョンソンが、コールドストリーム・ガーズ・バンドの委嘱で作曲したのがここに収録されている組曲「ロートレックの3枚の絵」です。音源としては過去にジョンソンの作品集の中の1曲として「ロイヤル・ツアー組曲」とともにコールドストリーム・ガーズ・バンドの演奏でリリースされていましたが、日本では入手が困難でしたのでこのCDは待望の新録音と言えるでしょう。19世紀フランスの画家で「ムーラン・ルージュ」などポスター美術の代表的作家でもあるアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックの「サーカスにて:曲馬師」「赤毛の少女」「踊るショコラ」の3枚の絵からインスピレーションを得て書かれたもので、ライト・クラシック畑の作曲家らしく、ロートレックの絵の雰囲気そのままの陽気で軽妙な3曲からなる組曲としてまとめられています。
クラークの「忘れられし英雄たち」とスパークの「スカイライダー」といった2曲のコンサートマーチも聞き応え抜群です。特に「スカイライダー」はスパークが英国放送協会(BBC)の委嘱でブラスバンドのために作曲しヨーロッパ放送ユニオンによるバンド新曲コンクールの1位を獲得した作品で、吹奏楽版の登場が待たれていました。
なお、収録されている作品の楽譜はすべてステュディオ・ミュージックから出版されているか出版予定となっており、いずれもお取り寄せできます。コンサートやコンクールにも好適なイギリスの作品の数々にぜひ触れてみてください。
(2006.03)
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